COLUMN 2025.04.28
| 1.造作譲渡とは?
店舗の物件探しをしていると『居抜き』の物件を探されている方が多いと感じます。特に飲食店をお探しの方は非常に多い気がします。『居抜き』とは前のテナントを借りていた方の内装や設備が残っている状態で次に借りる方が譲りうける形でテナント契約ができる物件で、譲り受ける事を『造作譲渡』といいます。
通常の賃貸借契約では、退去時に『現状回復』する義務があります。『現状回復』とは借りた状態に戻して貸主に返すことですが、設置した設備や内装を撤去し元の状態に戻すには費用がかかります。退去する時には、できるだけ費用をかけたくないと思います。反対に、これからテナントを借りて開業したという方は開業にかけるコストを少しでも抑えたいと思います。
『造作譲渡』すると、退去する側は『現状回復』せずに、次の借主が『現状回復』を含め内装、設備まで譲り受ける事になります。
造作譲渡できる物件があれば、退去したい側にも借りたい側にもメリットがあります。
| 2.造作譲渡のデメリット
『造作譲渡』はメリットだけではありません。注意すべき点もあります。
・設備の経年劣化や不具合があるリスクを考慮する必要があります。
・『造作譲渡』には譲渡費用が必要なケースがほとんどです。売る側と買う側の費用が一致しない場合があります。
・貸主によっては、造作譲渡自体を認めていない場合があるので、契約内容を十分注意して確認してください。
・譲渡する側としては、契約期間中に次の借主が見つからない場合もあります。その時には現状回復しなければなら
なくなるので、退去する予定であれば早めに次の借主を探す努力が必要です。
| 3.契約方法は?
『造作譲渡』の契約は借主とテナントオーナー間の賃貸借契約と前借主と次の借主の間での造作譲渡契約の2種類の契約が必要になってきます。
造作譲渡契約は賃貸借契約とは別個の契約として扱われ、前提条件としては、テナントオーナーの承認が必要です。
造作譲渡契約では造作対象物の詳細な一覧と譲渡金額を明確にしておくことをお勧めします。
具体的には設備や内装の種類、状態や数量をできるだけ詳しく記載し、現状確認を行う事で後のトラブルを防げることになります。特に譲渡後の修繕義務や保証の有無については、当事者間で合意を取り、明確に契約書に記載することが望ましいです。
<造作譲渡の対象となるもの>
・内装(意匠)
・壁
・厨房設備
・空調設備
・排気設備
・テーブル、椅子
・トイレ
・看板
などです。
<造作譲渡の対象とならないもの>
・リース品
・建物に付属する設備
です。
| 4.譲渡価格はどのくらい?